一宮市地域包括支援センターやすらぎ(愛知県一宮市)
「5年ほど前からかかわりをもっていた認知症の一人暮らしの女性から、いろいろなことを教わっています」と語るのは、一宮市地域包括支援センターやすらぎの尾崎智美さん。毎日の散歩はもちろん、買いものが不便な地域であるにもかかわらず、その女性は毎日20分ほど歩いて行きつけの商店に買いものに出かけています。女性が行けないときには近所の人がかわりに出かけていることもわかりました。「この方の暮らしを見ていたら、地域の特徴やつながりも見えてきたんです」と尾崎さん。
買いものに不便な地といっても、住民に聞き取りをすると「買いものの支援が必要」という声は聞こえてきません。普段から散歩や運動の習慣のある住民が多いと聞き、「それならば住民に身近な散歩コースで介護予防マップをつくってみよう」と、地域づくり協議会が作成したマップに介護の視点を取り入れたマップづくりを始めました。作成するにあたり、住民と一緒に歩き、地域の歴史を聞き取りました。「ただマップをつくるのではなく、住民の思いや身近な歴史も盛り込みたかった」と尾崎さん。市が主催する「ふるさと学級」でマップを紹介すると、参加した120人ほどの住民からも、地域の思い出話を聞かせてもらうことができたと言います。
新型コロナウイルスにより、3月のサロンが中止となったこともあり、包括でも「このままでいいのか」「どんな生活をしているのかが気になる」という声が上がり始めました。そこで、それまでのつながりをもとに個別に聞き取りを始めました。すると老人会長は、散歩をしながら気になる人の見守りや声かけをしていることがわかりました。一緒に散歩をすると、「川土手でラジオ体操を続けている。自然と人が集まり、多いときは20人くらい参加している」という話を聞くことができました。民生委員とマップのコースを歩くと、いままで知ることのなかった神社の行事を教えてもらったり、グラウンドゴルフを楽しむ住民にも出会いました。そのほか約20人に聞き取り調査を行うと、自粛期間中に骨折して入院をした人もいましたが、近所の人や友人の手伝いもあり、退院して自宅で暮らしている人、日課となっていた喫茶店に行く頻度は減ったけれど筋力を落とさないように自宅で運動を続けている人などの存在を知ることができました。
尾崎さんは、「もともとのつながりや活動がある人は、出かける習慣もあり、閉じこもりがちにならずに意欲的に暮らしている人が多いとわかった。そうでない人の暮らしぶりを気にかけていくと同時に、地域の人たちが自然と集まる場にも出向いていきたい。つながりや運動習慣も確認できたので、身近で楽しく介護予防に取り組んでもらえるような方法をこれからも考えていきたい」と尾崎さんは抱負を語ってくれました。
民生委員と一緒にまちを歩く
地域住民になじみのある情報を掲載した手描きの介護予防マップ
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