「坂之下サロン」でつながる地域

由利本荘市社会福祉協議会 矢島支所(秋田県)

秋田県由利本荘市の矢島地域坂之下集落は、52戸、人口100人ほどの小さな集落です。地域内を流れる子吉川は、鮎やサクラマスの釣りスポットとして全国的に知られています。しかし今シーズンは、新型コロナウイルスの影響で、県外ナンバーの釣り人の姿が見られないさみしい光景となりました。

コロナ禍の影響を受けた坂之下集落ですが、今から7年前の平成26年、「住み慣れた場所で気心の知れた仲間が集い、人生100年時代ピンピンコロリ」をスローガンに、坂之下会館を会場にした坂之下サロン(市ミニデイサービス事業活用・月1~2回開催)が立ち上がりました。声かけをしたのは、地元のそば粉を使った料理を楽しむ「坂之下そばの会」の会長です。「サロン開催には地域の母ちゃんたちの力が必要だ。一緒に坂之下を元気にしていこう」と地元愛の強い会長に誘われ、母ちゃんたち3人が中心となってスタート。サロンでは健康講話や保健師さんからの血圧測定、講師を招いての学習会等、さまざまなメニューで開催しています。

サロン参加者の一番の楽しみは、母ちゃんたちが作る自慢のおもてなし料理とおやつ。参加者の皆さんからは「サロンに行けばうめ~物(おいしいもの)が食べれる」と好評です。母ちゃんたちも、美味しい料理に楽しくおしゃべりしている参加者の姿を見ると、思わず笑顔がこぼれると言います。

しかし今年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会館へ集まったり、外出を控えたりする生活をせざるを得ず、2020年3月、4月とサロンの開催を中止しました。定期的に顔を合わせていた参加者もひきこもりがちとなり、健康状態も心配されるなか、母ちゃんたちが「自慢の料理を配って様子を見に行こう」と弁当配布を計画。5月開催日にあわせ、参加者への配布はもちろん、家族事情を良く把握する母ちゃんたちは、サロンに参加できない高齢者にも弁当を届けました。お届け時には「体調はなんとだ?」、「コロナに負けないように頑張ろな」などと声かけし、一軒一軒訪問しました。

母ちゃんたちが一番大切にしていることは「人を思いやる心」。そうすると、自然に絆が深まってくると話します。

集まってのサロンは開催できずとも、つながりを切らさないために工夫した取り組みで、気にかけ合い、支え合う地域の輪が拡がっています。

2021.2.28

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