「気になる人とつながり続けたい」という住民の思いを支える

山添村社会福祉協議会(奈良県山添村)

人口3、383人、高齢化率48.2%の奈良県山添村。村内には30の地区があり、そのうち23か所で住民によるふれあいいきいきサロンが月1〜2回、3か月に1回の割合で開催されていました。もともとおすそわけなどをし合いながら身近な人を気にかけ合う、つながりの強い地域ではありますが、新型コロナウイルスの影響もあり、サロンの運営者からは「サロンを開催していいのか、できないならば、気になる人にどう接したらいいのか」という問い合わせが村社会福祉協議会に相次ぎました。

これを受け、村社協では訪問による見守りを重点に置こうと考えましたが、「見守り、訪問となると、どう声をかけたらいいのかわからない」という声が上がりました。そこで、気になる人に声をかけるきっかけをつくろうと、「『コロナに負けないぞ!』〜やまぞえ・つながりプロジェクト〜」をスタートすることにしました。

村社協地域福祉係長の中谷淳さんは、プロジェクトの第1弾として、ヒマワリの苗を配ることを発案しました。苗ならば育ててもらいやすいと考え、800鉢を準備。届け先はサロンの参加に関わらず気になるお宅で、届ける数も自由。各地区で必要な数を取りに来てもらい、ヒマワリの苗を持って訪問してもらいました。ヒマワリを選んだのは、育てやすいことに加え、明るい花に元気がもらえると感じたから。人も地域も明るく元気になってほしいという願いが込められています。

コロナ禍では、同じ地区に住んでいても隣近所でもなければ話をする機会もなかったが、訪問先では『短い時間でも久しぶりにおしゃべりができて、気持ちがよかった』と言われた、「サロンがなくなり、交流の機会が少なくなった今、改めてサロンでつながる意味を感じた」などの声が寄せられたといいます。ある地区の80歳代の女性は、要支援でホームヘルパーなどを利用しています。歩行が難しくなったこともあり、地区のサロンには参加できなくなっていましたが、サロンの運営者はこの女性宅にもヒマワリの苗を届けました。見事に咲いた花を、女性はとても喜ばれたそうです。

プロジェクトは、第2弾の千羽鶴づくり、第3弾の脳トレと、その後も続いています。千羽鶴づくりでは、訪問先で一緒に折ったり、できた千羽鶴を公民館に飾ってみんなで見られるようにするなど、地区ごとの工夫も見られました。

中谷さんは、このプロジェクトにおいて、「一度きりの訪問で終わらないように、地区内で双方向のやりとりが続けられること」を大事にしていると言います。

気になる人を気にかけ続けたい、という住民の思いに応えて始まったプロジェクト。関わる人からは、「何度誘ってもサロンに来ない人が気になっていたけれど、サロンに来てもらうだけでなく、違うかたちで声かけをすることで、十分にお互いの安心を感じられることがわかった」という声も届いています。

2021.1.28

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