おそれながらも、楽しくつどう

紫波町(岩手県)

岩手県のほぼ中央に位置する紫波町。町の西部にある志和地区は、人口3,585人、高齢化率40.31%(2020年5月末)の地区です。ここで民生委員活動をする小田中久夫さんは、高齢者の見回り、話し相手の活動を中心に地域活動を進めるうちに、共通点があることに気づきました。それは、今後の暮らしに希望を持つことができず、今の暮らしが続けばそれでいい、という消極的な考えでした。そのため、家にとじこもりがちになり、ご近所とのつきあいも減っていき、独居状態になっていました。

民生委員3年目の2019年5月、小田中さんは、両親と妻の協力で、自宅作業場の一角を開放し「お茶っこの会」を立ち上げました。活動に際し、紫波町の生活支援コーディネーターの佐藤由美子さんや町社会福祉協議会の菅波久美子さんに会の進め方や、健康で明るい生活を送るためのアドバイスをいただいたと言います。

会は、毎月第3月曜日の9時半から2時間ほど開催されます。

初回のお茶っこの会では「久しぶりだなぁ」という挨拶があちこちで聞かれ、「開催してよかったと実感した」と小田中さん。健康維持のため、毎回、健康体操や管理栄養士による職の話などを取り入れ、日常の生活に役立ててもらっているそうです。

「昔は農作業の手伝いでそれぞれの家をまわる結っこがあったけれど、最近は農作業の機械化もあり、そうした姿を見なくなりました。そんなことも、集まる機会が減っている要因かもしれません」と生活支援コーディネーターの佐藤さん。

そんなお茶っこの会も、新型コロナウイルスの感染防止の観点から3~4月は中止しましたが、参加者からの要望もあり、5月に再開することに。再開にあたっては、地域おこし協力隊(コミュニティナース)に来てもらい、新型コロナウイルスに対する注意事項などを参加者とともに確認しました。佐藤さんは、「ただ怖がるのではなく、正しい情報を取り入れ、予防に取り組む姿勢が見える。おそれながらもつどうことで、免疫力も高まっているように思う」と話します。

志和の八幡エリアには志和八幡宮があることから、もともとお祭りや行事が盛んな地域です。9月のお祭りには、毎年、「のぎ花」を軒先に吊るすのが習わしです。「のぎ花」は、1つの飾りに5~6個の花がついたもの。最近ではつくり手がいないために購入したものを飾る家が多くなっていますが、「お茶っこの会でつくってみよう」という話が出て、参加者の目標になっています。

2020.9.28

 

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