オンラインを活用して、がん患者とその家族を支える

NPO法人がんサポートかごしま(鹿児島県)

NPO法人がんサポートかごしまは、鹿児島県のがん患者とその家族の心身をサポートし、啓発活動を行うことで、がん患者を地域社会全体で支える基盤づくりを進めようと2007年12月に発足しました。

がん患者や家族が自由に集える「患者サロン」を県民総合保健センターで週2回開き、「出張サロン」を5か所の病院で定期開催。がんで家族を亡くされた方のサロンや、再発された方のサロン、35歳までの若者のがんサロンも開催しているほか、2010年からは小中高校に出向き、自分ががんになった経験を通して子どもたちに命の大切さや自分らしく生きることについて伝える「いのちの授業」を開催してきました。

新型コロナウイルス感染症においては、重症となるリスクの高いがん患者を守るため、2月にサロンの休止を決断。「会えなくて寂しい」「一人暮らしの高齢の患者さんが気になる」との声を受け、5月からZoomを活用した予約制の相談会や、WEBサロン(毎週火曜日)を開いています。試行錯誤の運営ですが、参加した人からは「じっくりと話せてよかった」という声が寄せられています。

それまでもSNSを活用して情報交換を行い、所属する別団体ではオンラインでの会議も行っていました。自身も乳がん患者である理事長の三好綾さんは、「がん患者にとって、仲間と顔を合わせることは生きる上で大きな意味をもちます。体調の不調や再発の不安に寄り添うことが、心を保つ助けのひとつとなります」と、オンラインも活用してつながる意義を話します。

毎年5月に事務局を担い開催しているチャリティイベント「つながる想いinかごしま~がんとともに生きる~」も、2月に開催中止を決断。代わりに、当日10~17時までZoomで交流する場を設けたところ、患者・家族・医療従事者など約60人が好きな時間に参画。三好さんの進行で、定時に自己紹介などを挟みながら、自由に意見交換をしました。「ステイホーム中で、久々に人と話せた」「がんの症状は落ち着いていて相談したいことはないが、おしゃべりをしたい」「患者会には入っていないが、つながりたい」などの声が寄せられ、また、県外からの参加者が多くオンラインならではの新たな出会いが生まれました。

7月からは、感染予防策を講じたうえで、通常のがんサロンを再開する予定ですが、県内は離島も多いためオンラインも継続。「いのちの授業」もオンラインを試みるなど、これまで以上に多様な手法で活動を広げていく予定です。

2020年11月13日

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