新型コロナウイルスから考える福祉学習の実践

南小国町社会福祉協議会(熊本県)

新型コロナウイルスから福祉について学ぶ教材「あなたのまちでやさしさをひろげるために」の紹介が、2020年10月に開催された令和2年度全国福祉教育推進員フォローアップセミナーでありました。南小国町社会福祉協議会では、2名の職員でこの教材を活用した福祉学習プログラムを町内すべての小・中学校で実施してきました。

プログラムの実施にあたっては、小中学校へ訪問しプログラムの概要を説明したところ、担当職員と一緒に南小国町社協版のプログラムを作成することになりました。学校の先生とのプログラム内容・教材・アンケート内容について打ち合わせを行い、先生たちの思いや考え、専門的な助言も取り入れながら、コロナ禍で生まれている、偏見や差別について子どもたちが主体的に学んでいくプログラムとしました。職員同士で予行演習を繰り返し行い、言葉の使い方や進行方法を検討するなど、実践に向けて準備していきました。

一つの小学校では、1~6年生のすべての学年で行うこととしたため、学年に応じた内容の見直しや現在の流行を取り入れるなどの工夫を行いました。子どもたちは、コロナウイルスのことを題材として、コロナ禍だからこそ人とつながることの大切さを知ることができたようでした。先生方からも「コロナの予防についての話ではなく、コロナにかかった人の家族のことや自分たちの行動(差別をしない、相手の気持ちを考えるなど)についても考えることができた」と話してくださり実践の効果を感じることが出来ました。

中学校では、地域の高齢者(ゲストティーチャー)を招き、子どもたちからの質問に答えながら「つながる力」について考えました。学習のあとに行ったアンケートでは、「受援力をつけていくこと、助けてといえる環境づくりの大切さを意識していきたい」との声もあり、子どもたちが福祉の大切な視点に気づくことができました。

今回の実践を通して、社協職員も大きく成長できました。特にコロナ禍では、少しでも体調が悪いと「もしかしたら自分もコロナに感染しているのでは」という不安にかられることがありました。それは、周りの人々を信じていない自分がいたからではないかと考えさせられました。そして何より、学習会に参加した子どもたちがとても真剣に考えてくれたことが嬉しく、取り組んだ甲斐がありました。学校側からもこのような福祉教育を継続的にやっていただきたいと前向きな発言をいただき、福祉教育を推進していく楽しみとその大切さを実感することのできた実践となりました。

2021.2.17

楽しく やさしく 元気よく(3年生学年目標) みんなと記念撮影

 南小国町社協版「あなたのまちでやさしさをひろげるために」

この記事をシェアする

お問い合わせ先

お問い合わせ
本サイトは「赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン 居場所を失った人への緊急活動応援助成金」により作成したものです。