有償サービスを柔軟に変化させ、心細さを支える

NPO法人ぽっかぽかすずかけ(熊本県合志市)

熊本県合志市は、熊本市の北東部に位置し、県内でも数少ない人口増加地域です。市南部に位置するすずかけ台は、1978年の団地造成後39年が経過し、高齢世帯が増加。2,057人が住み、2020年3月末の高齢化率は42%となっています。

NPO法人ぽっかぽかすずかけは、急激な高齢化が進むなか「地域のことは地域で支えよう」と、2011年に設立(2015年NPO法人化)されました。合志市社会福祉協議会で取り組む、住民同士でちょっとした困りごとを支え合う有償サービス事業「安心生活ぽっかぽかサポート」の団体登録第1号です。

ぽっかぽかすずかけでは、2015年に空き家を活用し、すずかけ台の地域住民のための居場所づくりの家「よんなっせ」を開所、つどいの場を運営し、健康体操や脳トレ教室、映画鑑賞会など多様なプログラムの提供、手づくりの昼食もふるまっています。34人の協力会員が、90人の利用会員を支えています。協力会員からは、「よんなっせでお昼をつくったり、利用会員のお宅に掃除に行ったり、毎日何かしら体を動かしていて病気知らずになった」という声が聞こえるほど、協力会員にとっても大事な活動となっています。

しかし、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、つどうことの自粛が続いています。そのため、高齢者から「サロンや通いの場に行って過ごすことが生きがいだった。いまは行くところがない」という悲痛な声を耳にするようになりました。また、「買いものができない」という日常的な困りごとも聞くようになりました。

そこで、事業を活用して手づくりのお惣菜を届ける活動を始めました。もちろん、お惣菜を届けるだけでなく、様子を気にかける見守りの意味合いも大きく、何か気になることがあればすぐに社協等につなぎます。市社協地域福祉課の林省吾さんは、「コロナによる自粛要請が発令されてから、惣菜配達の利用を含め、会員が増えている」と話します。NPO法人ぽっかぽかすずかけの佐藤令子さん(協力会員)は、「皆ですぐに意見がまとまり、『やろう!』と始まりました。この前向きな気持ちがいいところです。感染予防に注意し、楽しみながらやっているし、利用会員から喜ばれる声が励みになっています」と話します。また、利用会員からも、「おかずが来る日は一日優しい気持ちでいられる」「本当は毎日でも来てほしい。とても楽しみにしている」という声が聞かれます。

林さんは、こうした活動に感謝を示すとともに、「ボランティア、サポーターの方々の『(地域の“  困った”を)どがんかせにゃん(どうにかしなくちゃ)』という想いを応援することが社協の役目だと思っています」と力強く話してくれました。

2020.10.5

衛生面はもちろん、換気などに気をつけながらお惣菜をつくっています。

笑顔でお惣菜の受け渡し

感染予防のポイントを確認

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