新聞店発行のミニコミ紙。コロナ下の対策や活動を紹介

藤田新聞店(宮城県)


宮城県気仙沼市の新聞販売店「有限会社藤田新聞店」は、ミニコミ紙「ふれあい交差点」を個人発行し、市内全域に新聞折り込みで配付しています。1999年に発刊し、東日本大震災後は「災害特別号」に特化して継続。1号から100号までは連日発行し、安否確認や居場所の連絡、公的情報などを伝えました。現在は月1~2回、暮らしやまちづくりにかかわる情報を住民目線で発しています。

企画から取材、原稿執筆、校正、印刷まで、所長兼編集室長の藤田裕喜さんと妻の孝子さん、そのご家族で行っています。無料で配付し、印刷費などは自社負担します。

今年3月11日の発行号では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため震災の追悼式が中止されたことにふれ、『式にこだわることなく、震災犠牲者を追悼し、生きていることを感謝し、震災の教訓を伝える機会としたいものです』と呼びかけました。また、ウイルス対策情報として、免疫力を高める生活習慣やマスクの着用、手洗い・うがいを推奨。誤情報から紙製品の買い占めがおきた世相に、『必要でも手に入らない高齢者などもいることだろう。せめて気仙沼から大人の対応で買い占め騒動に終止符を打ちたいものです』と喚起しました。

5月6日発行号には、気仙沼市出身で、アメリカ在住者の寄稿を掲載。一住民目線で海外の近況を報告しました。

コロナ禍の紙面づくりについて、孝子さんは、「3密を避ける、手洗い・うがいなど、当たり前のことをきちんとしましょうと書いています。集まれないなかで、前を向いて活動している市民や団体を紹介したい」と話します。裕喜さんは、「震災直後もそうでしたが、特に高齢の方にとって、紙媒体は貴重な情報源だと思います。有事には、デリバリー組織のある新聞販売店は地域目線の情報発信に有効です」と提言します。一方で、「情報が正確か、個人の特定にならないか配慮し、コロナ禍の発信には慎重になっている」とも。

「皆さんの力で支えてもらっています。ご縁でずっといろいろな方とつながっていることが、ふれあい交差点の強みかなと思います」と孝子さん。外部団体や住民の寄稿も多く寄せられ、記事を読んだ裕喜さんの前職の上司で、自治会の会長も務めた人から、お褒めの言葉と近況の連絡が届いたこともありました。震災時は紙上が住民の情報交換の場になりました。これからもその時々のニーズを探り、地域の声と情報を届けます。

2020.9.1

 

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